CIO LoungeMAGAZINE_2023autumn
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組みを「データドリブン経営」、「儲かるカーボンニュートラル」と言っています。2013年からですか。すでに10年になるのですね。矢島 もともと木村社長はトヨタ自動車でエンジニアをされておられましたね。木村社長 う分野の開発をやっていましたので、生産調査部というところに異動して3年修業し、10年前にこちらに来ました。矢島 たのですか。木村社長 ましたので、予定していたわけではありませんでした。私自身はトヨタの仕事が大好きで会社に行くのが楽しくてしょうがなかったのですが、娘婿だから仕方ないかという使命感みたいな思いでした。このままだったら会社も終わる。そうすると従業員も困るだろうと。矢島 それから10年かけて、大きな実績を上げてこられました。木村社長 と思います。当時は本当に厳しい状況で、大手サプライヤーは調子悪いし、当社の仕入先も廃業する。従業員も減少しましたが、効率化の結果ではなく、採用自体ができなかったのです。矢島 人が採れない。大阪でも東大阪や堺、枚方なども同じ悩みを抱えています。木村社長 コントロールできませんし、大学卒については非常に難しい状況が続いています。矢島 畑ではない方が、木村社長の指導の下、生き生きと活躍されています。意図された結果でしょうか。木村社長 ンは現場でやってくれないと仕方ないですからね。過去、高校卒の優秀な人材が採用できていましたので、その潜在能力をうまく引き出せたのではないか思っています。そうです。エンジニアをやっていましたが、全然違もともと、トヨタに行かれたのはこちらに来るためだっ違います。普通にトヨタに就職し、その後結婚し当時と比べて当社の企業価値は10数倍になっている採用については、高校卒は学校が送ってきますのでiSTCで活躍されている皆さんを見ていると、技術もちろん意図して取り組みました。やはりカイゼ矢島 現場目線で育てていくことが大事なんですね。木村社長 そうだと思います。私はDXが進まないのは、IT人材の不足が原因ではないと思っています。経営者に変える気がないのにDXをやれというのは所詮無理な話です。経営者がアンテナを高く張って、必死で考えて、結果どうなるかわからないけど、やろうと言わなければだめなのです。矢島 木村社長の取り組みを初めて見せていただいたときに、「昭和の機械にIoT」という言葉、大好きになりました(笑)。誰が見てもわかるIoTですよね。簡単な磁石や光センサーで実現されました。あの発想はどこから生まれたのですか。ら、実際にできたんです。矢島 以前に見学させていただいたとき、これはいいなと思ったのは、現場の皆さんが簡単に確認できることでした。これで時間を測っているとか、パトランプがついたらこうとか、全部〝見える形〟で動かしているから、皆さんもすぐ気付くということですね。「現場の動きを楽にするのが〝カイゼン〟」木村社長 仕事を楽にするのが〝カイゼン〟なんです。今朝の木村社長 ストップウォッチで測っていました。トヨタ生産方式では、「時間は動作の影」といいます。時間にバラつきがあったら動作もバラついているはずだから、ストップウォッチを持ちなさいということです。しかし私は、そんなことを従業員にやらせたくない。単に大変だからです。こんなことは自動でできるだろうと思ってやったカイゼン報告会でも「こうすると楽になると思ったから」と、これが大事です。今日も報告が上がっています。電力消費量の削減報告ですが、月314kWh、年額換算で1万以上の削減です。このように彼ら自身が考えて実行し、こんな感じでピースをして写真を撮ることになっています(笑)。こういうのがたくさんあります。今月だけでも10回ぐらいあると思います。矢島 犯ブザーなど窓に磁石をつけて離れたら音が鳴る数百円のあれですね。あれを買ってきて、プレスに付けたわけですね。木村社長 もともとはクラウド上で整理したデータをスマホやパソコンでグラフ化します。この送受信クラウドは、当社がサブスクで提供していますので、顧客は何も準備する必要はありません。ストップウォッチの場合はポイントを決めて押しますが、それと同じことをこれでやります。製品ごとに、パルスの数で生産量がわかるし、ピッチを測ればサイクルタイムがわかります。来るはずのところで来なかったら遅れや停止という判定ができます。実はこの数値を出すこと自体は大したことではありません。ただ数値の羅列だけでは現場は使ってくれないので、稼働状況や金額、CO₂などといった形に加工しています。あらゆるデータを取らず、経営者にとっては、売上や労務費、CO₂排出量など、利用価値の大きい経営に近いデータを取るという発想です。例えば、個数は単価を掛ければ金額です。労務費は稼働時間との相関が強いし、CO₂排出量はそのものが重要です。そのためこういう共通するデータを取り、加工して活用しています。矢島 が減ると従業員の方の収入も減ると思いますが、経済的な面も含めたモチベーションの維持向上についてはどうですか。先ほど、磁石や光センサーの話がありましたが、家の防製造ラインに後付けで取り付けて、無線で飛ばし、少し話が変わりますが、IoTで効率化が進み、残業横展アイテムリスト4Tetsuya Kimura Takao Yajima

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