2025年2月5日開催 現場主体DX分科会イベント【現場主体開発をどのように推進するか!】
当分科会による第2回ワークショップを2025年2月5日(水)に開催いたしました。 参加者は、ユーザ企業様13社19名、サポート会員様8社13名、CIO Lounge関係者17名の総計49名でした。世の中の現場主体開発の認知度の高まりからか、募集人員を超える参加申し込みがありました。
ワークショップのテーマは、「現場主体のシステム開発をどのようにして推進・運用していくか!」としました。
システム開発のダウンサイジングが進む中、また、比較的安価で導入できるローコードやノーコード、RPAが充実してきた環境下で、「どのようにして現場にやる気を持ってもらうか」「どのようにして続けてもらうか」さらに「どのようにして広めるか」を話題の中心としました。
事例紹介 フジテック株式会社様
ワークショップに先立ちまして、フジテック株式会社 デジタルイノベーション本部 山本様、佐竹様より、RPAを活用し現場従業員自らが手作業で行っていた業務を自動化し、26,170時間/年の削減効果を生み出した事例などをご紹介いただきました。
フジテック様のDXの目的は「お客様の安全・安心に貢献をすること」であり、そのビジョンは「デジタルツインの実現」です。量的な意思決定はデータをもとにシステムで行い、「商品とサービスとお客様をつなげるデジタルプラットフォーム」を生かしてお客様や従業員の提供価値を高める取り組みを推進されています。

フジテック様から今までに取り組まれた事例を紹介いただきました。
1.RPAの導入
プロセス管理部の全員で現場業務の調査を1か月かけて行った。見えてきた課題をRPAで解決することで生み出した時間を「育成・学習」「本来価値創出」といった時間にあてることができた。RPAの開発・運用環境をクラウドで用意したことにより、コロナ禍でもスムースに教育や開発を実施することができた。
2.生成AIの活用
社内キャラクター(テッキー君)を使って、社内のあらゆる情報、ルール、申請方法などを教えてくれるという社内ポータルコンテンツを作った。社内情報は業務別にリーダーを任命して作成を依頼し収集した。社内情報しか学習していないのでハルシネーションが発生しにくく正確な返答ができるようになっている。
3.ペーパーレス
今まで紙で作成していた申請や点検報告を、現場でワークフローを使って情報入力し自動発行することで、実績や点検報告がいつでもどこでもデジタルで閲覧出来るようにした。開発が容易なワークフローを選択し、さらに根気よく社内教育を行った結果、現場で開発できるメンバーが40名以上になっている。以前のシステムで8年かかったワークフロー環境の移行を1年で達成した。
4.現場ユーザの巻き込み
・「最新デバイス・サービス体験会」・・・最新機器の大きさ、重さやその機能について現場部門に実際に触ってもらい購買の動機付けになる企画を行った。「スマートグラス、モバイルモニターってどんなもの?」など。予算作成前に実施したことで、実際の購買につながった。
・「グローバル業務ITソリューション展」・・・国内で活用しているソリューションを海外法人の役員に紹介し展開した。
・「業務改善EXPO」・・・業務改善方法の紹介をオンライン・オフラインで開催。営業マンのありたい一日を生成AIの活用など具体的な解決方法を交えビデオにしてわかりやすく紹介し改善事例の横展開を図った。
・「社内コミュニティ 学びの場」・・・社員同士が学びあうことができる場所を立ち上げた。社内コミュニティを業務であることを社内に告知して参加し易くした。オフラインでは「ランチ会」を開催し、オンラインと併用でコミュニティを盛り上げた。
事例紹介の最後にフジテック株式会社 専務執行役員CIO友岡様より下記のように総括がありました。
「請負型の情報システム部では経営が良くなることが無い。フジテックは提案型の情報システム部に舵を切った。
提案型になるためには、現場の本当の課題を見逃さないように、実際に現場に出向いて現場の中で業務を見るようにしなければならない。会議室で出てくる課題は本当の課題ではない。ましてや、ITベンダーやコンサルに依頼することでもない。必ず「Why:企業の存在価値は何か?」「Who:顧客はだれか?」を先に考えて課題抽出や対策に当たるべき。」

グループディスカッション
その後、ユーザー企業様を4つのグループに分け、サポート企業様とファシリテーターを加えた計6~7名の編成で90分間のグループディスカッションを行い、熱心に議論をいただきました。
ディスカッションのテーマは、「現場をやる気にさせる策」「そのやる気を広める策」とし、各社の現状と目指すべき姿について情報交換が行われました。

1.現場をやる気にする策
実際に現場開発が進んでいる企業と、これから進めようとしている企業で全く正反対の意見が出ていました。
開発が進んでいる企業は、「教育の実施」「現場と情報システム部の人材交換」「小さくても結果を出してやる気を起こす」など推進策が多く出ていたのに対し、これから進めようとしている企業は「通常業務以外は現場で行うことが許されない雰囲気」「人とお金が無い」など、現場開発が進まない理由を述べるのに留まっていることが多かった。
2.やる気を広める策
「やる気を広める策」については「現場開発に功績があったメンバーを表彰する」「成功事例とその成果を共有し波及効果を狙う」「勉強会の開催やコミュニティの立ち上げ」など各グループ共、おおむね意見は一致していました。ただ、意見とは裏腹に今のところ企業内に確たる評価体系や対応策が無い企業が多いようでした。特に中規模企業においてはそれが顕著に表れているようです。現場開発ツールの充実は、大企業の恩恵となっているが、中小に至っては、資金不足と人材不足の両面で現場開発に着手できない企業が多いようです。
今後のワークショップ開催に向けて
今後のワークショップは今回アンケートでいただいたご要望やご意見を反映した形で開催をする予定です。
特に「具体的な事例を基に意見交換をしたい」「多くの事例を紹介してほしい」とのご意見が多くありましたので、今後はCIO Loungeからの事例紹介だけでなく、参加企業様の事例を紹介いただけるように検討を進めていきたいと思っています。
